コミュニティと学校の歩み

「子どもを平和な世界を築いてゆく人間に育てたい。シュタイナー教育を受けさせたい」
1996年、熱い思いを抱いた大人たちが北海道伊達市に集い、”いずみの学校”は誕生しました。

大きな家族のようなコミュニティ

“いずみの学校”は、全学年を合わせても120名程度の小さな学校です。
小さな子は憧れの目で上級生を見つめ、大きな子はあたたかな眼差して下級生を見守ります。
その子ども達を支えるのは、教師と、クラス内のつながり、委員会活動などを通じて、日常的に交流を持つ保護者達。その姿は、まるで大きな家族のようです。
いずみの学校に初めてこられた方は、その関わりの濃密さに驚くかもしれません。

子どもに相応しい環境づくりを


シュタイナー教育では、学校にいる時間だけでなく、子どもを取り巻く全ての環境を、その年齢にあったふさわしいものに整えることを大切にしています
幼児期の子どもに対しては、リズムある生活を過ごし、健康的で安全な食べ物や衣類、おもちゃなどに配慮する。また、ふさわしい年齢になるまでは、テレビ、ゲーム、コンピューターなど電子機器に接しないようにするなど。現代のテクノロジーに囲まれた社会では、大人が特別な意志をもち、配慮をしなければ、その環境を創り出すことは困難です。
そのため、保護者へは教育内容への深い理解と、その環境を協力し、つくり出すことが必要になってきます。
昔は当たり前だった、コミュニティでの子育て。
私たちは、日々、子どもと取り巻く環境を注意深く観察し、親と保護者が協力し合いながら、環境作りに取り組んでいます。

移住の決断をして集った仲間達

“いずみの学校”がある豊浦町は人口4000人の小さな町。
この地で、子どもに15年一貫教育を受けさせるには、大きな決断がつきものです。

自然豊かな子育てには理想的な環境ですが、都市部のように仕事先の選択肢は多くはありません。
どこに住み、どのように働き、どのようなライフスタイルで暮らすのか。
いずみの学校へ集う保護者の職業、ライフスタイルは実に様々。
半農半Xで何か仕事をしながら自給自足的な田舎暮らしを楽しむ人、農林業に携わる人、起業する人。お父さんだけは都市部で働くこと選択する家族など。
皆、より良い未来、より良い教育を求めて決断し移住に踏み切った、勇気ある、個性あふれる仲間達です。

子どもの教育部門としてスタート


学校法人やNPO法人になってゆく前の”いずみの学校”の前身は、ルドルフシュタイナーの思想(人智学)を体現しようとする「ひびきの村」(リンク下記参照)です。大人の学び、通販、農場とともに子どもの教育部門があり、その全ての仕事の一部として、関わる大人が特技を生かし、教師として子どもの前に立ったのが始まりです。

コミュニティの中で未就学児を対象に始まった教育活動も、初等部の土曜クラスから全日制へ、さらに中等部高等部へと広がり「NPO法人シュタイナースクールいずみの学校」が運営するフリースクールとしての形を整え、さらには学校法人への道を歩みだします。
全日制が始まると移住者が増え、急速に子どもも増え、教師も教室も、学校運営経験も、資金も学籍も、ないないづくしの中、手探りで歩んでいきました。

教師と保護者が共に創る学校

目の前の子ども達のために、何が必要かを話し合い、自分に何ができるか考え、自主的に動き、創り上げていく。
 学校づくりとは、目に見えるものだけでなく、目に見えない精神的な柱、また運営全般に及びます。他のシュタイナー学校同様、経済的な格差で通えない子どもが出ないよう、学費や給与を定額制でなく自己申告制で運営したり、全員一致するまで会議で話し合って決定する、など、理想をいかに現実化するか模索してきました。(現在は定額制、代表を出しての話し合いに落ち着いています) 
教師、保護者子どもも総出で教室づくりをしたり、組織の形を変え、運営の方法を変え、あらゆることに挑戦し続ける。このような状況は、学校法人化し豊浦町に移転できるようになるまで続きました。

仲間との深いつながり

参加する大人達が徹底的に話し合い、知恵と力を合わせ、一つ一つ課題を解決し創り上げる。この積み重ねを土壌として、自身が凛としてありのままを生き、皆が助け合い、励まし挑戦し続ける文化を培ってきました。

シュタイナー学校の運営の特徴に「教師と保護者が共に創る学校」があります。
この言葉通り、子どもの教育に対する真摯な価値観を共通の土台として、大人たちは学校づくりに励み、深い繋がりを生み出してきました。
2008年、学校が法人化され、大人に求められることが変化してきました。
それでも、日々の子育て、学校運営を通じての深い関わりの中で、共に考え、悩み、解決し、創り出してゆく。ともに協力し力を合わせて働く大人の姿を見て子ども達は育っていきます。
この深いつながり、豊かな経験こそ、参加する大人たちへのギフトとなることでしょう。

世界と連なるシュタイナー学校運動

2019年は世界で初めてシュタイナー学校ができて100年の記念の年です。
第一次世界大戦直後の荒廃したヨーロッパで、健康な社会の再建のために始まったユニークな教育実践は、各地で草の根の運動として広がり、宗教や営利団体によらない学校としては、世界で最大規模の教育運動に育ちました。2017年現在、70カ国に2000の幼稚園、1100の学校があり、緩やかなネットワークで繋がっています。
”いずみの学校”でも、修学旅行、留学、交換留学生、ボランティアの講師、他のシュタイナー学校との交流など、学校生活の中で、世界中のシュタイナーコミュニティとの交流が盛んに行われています。
我が子のためにと入学してきた大人も、この新しい社会を創り出す、学校運動の大きな流れに乗っていることを感じ取られるでしょう。
今この瞬間にも、貧困街や紛争地域で、世界をより良いものにしていこうとするシュタイナー教育を実践する仲間がいます。
先の見通せない世の中で、人種、言葉、宗教、貧困をも超えて新しいより良い未来を創り出す。北海道での小さな学校づくりも、その同じ道のりの上にある。その想いを共有し日々活動できることは、私たちコミュニティの誇りです。

自己教育としての学校運動

 子どもの親として共に育っていられる時期はほんのわずかです。その期間に、学校づくりを通じて学んだ新たな人間観、世界観、人間関係などを培うことができます。それらすべてが、人生100年時代を生き、学校を卒業した卒業生たちと、共により良い社会を創って行く仲間として働いてゆく大きな糧となるでしょう。
2017年からは卒業生や卒業生保護者が在校生や在校生保護者と共に集い語らい合う、ホームカミングデーという取り組みが始まりました。かつての子どもたちが逞しい青年に育ち、共に集える喜びをコミュニティで味わっています。

「全ての教育は自己教育である」とルドルフ・シュタイナーは語っています。
私たち保護者は、一生学び続ける力を得られるという、シュタイナー教育を受けて育ったわけではありません。
しかし、子どもの受けるシュタイナー教育を通じて、私たち自身が、開いた心で世界に向き合い、共により良い世界を創っていける仲間や基盤を創ることができる。これこそが私たちコミュニティの力であり、学校運営を通じて得られる最大の喜びであり魅力であると考えています。

シュタイナー学校(自由ヴァルドルフ学校)運動は世界60数カ国に1,000校を超える広がりをもつ、世界規模の教育ムーブメントとなりました。ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア地域で広がってきた学校は、今ではアジア地域にも急速に広がりつつあります。

waldorf 100動画

「ひびきの村」・・・北海道伊達市にある人智学共同体施設・大人の学びの場としてサマープログラム等行っています。「いずみの学校」にとっては、学校法人の前身である全日制学校をスタートさせた親のような存在となります。
→NPO法人人智学共同体「ひびきの村」はこちらから

 

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